2012年5月2日水曜日

『東南アジアのイスラーム』刊行


装丁:桂川潤
東京外国語大学出版会 2012年4月10日
A5判・上製・414頁・定価:3780円(本体3600円+税)
ISBN978-4-904575-20-8 C0036

このたび、『ラテンアメリカにおける従属と発展』につづき、床呂郁哉先生(本学アジア・アフリカ言語文化研究所〔以下AA研〕准教授)、西井凉子先生(本学AA研教授)、福島康博先生(本学AA研研究員)編『東南アジアのイスラーム』も刊行されました。

東南アジアは、世界で最も多くのムスリム(イスラーム教徒)を抱える地域です。本書は、その東南アジアのイスラームについて、その歴史的・文化的背景から政治や経済にいたるまで総合的、かつ多角的に検討されています。また、その実情を一般の読者にも広く知っていただこうと試みられた日本では初めての本格的な論文集です。昨今、特に注目を集めている「イスラーム金融」についての論考もおさめられています。

研究者や専門家、あるいは大学院生にかぎらず、東南アジアやイスラームに関心のある一般の社会人(企業関係者、駐在員、在外公館・官公庁関係者、NGO関係者、教育関係者、その他の一般読者層)の方や学部学生の方におすすめの一冊です。

■目次より:
序文 なぜ今、「東南アジアのイスラーム」なのか?(床呂郁哉)
〈東南アジアのイスラーム〉を知るために(塩谷もも/福島康博/床呂郁哉/西井凉子)
第Ⅰ部 イスラームと知の伝達
第1章 旅して学ぶ(辰巳頼子)
第2章 東南アジアから南アラビアへの留学(新井和広)
第3章 キターブにみる東南アジア島嶼部のイスラーム受容(菅原由美)
第Ⅱ部 紛争と平和構築
第4章 フィリピンにおけるムスリム分離主義運動とイスラームの現在(床呂郁哉)
第5章 南タイの暴力事件にみるムスリム-仏教徒関係(西井凉子)
第6章 パタニの二つの顔(黒田景子)
第Ⅲ部 イスラームをめぐる法と政治
第7章 フィリピンにおけるイスラーム法制度の運用と課題(森正美)
第8章 ムスリムの再生を願うコロニアリズム(鈴木伸隆)
第9章 出版業にみる福祉正義党の「市場戦略」(見市建)
第10章 東南アジアのイスラーム裁判制度(今泉慎也)
第Ⅳ部 イスラームと社会
第11章 ニュータウンのムスリム・コミュニティ(左右田直規)
第12章 ジャワにおけるヴェール着用者の増加とその背景(塩谷もも)
第13章 ダッワの伸展とその諸相(小河久志)
第Ⅴ部 イスラームとビジネス
第14章 連携と競合(富沢寿勇)
第15章 グローバル・ハラール・マーケットへの挑戦(川端隆史)
第16章 拡大するマレーシアとインドネシアのイスラーム金融(福島康博)

■編者紹介:
床呂郁哉(ところ いくや)
1965年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。学術修士。人類学専攻。著書に『越境──スールー海域世界から』(岩波書店、1999年)。

西井凉子(にしい りょうこ)
1959年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。博士(文学)。人類学専攻。著書に『死をめぐる実践宗教──南タイのムスリム・仏教徒関係へのパースペクティブ』(世界思想社、2001年)、『社会空間の人類学──マテリアリティ・主体・モダニティ』(共編、世界思想社、2006年)、『時間の人類学──情動・自然・社会空間』(編著、世界思想社、2011年)など。

福島康博(ふくしま やすひろ)
1973年生まれ。桜美林大学大学院国際学研究科博士後期課程単位取得満期退学。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究機関研究員。博士(学術)。イスラーム金融論・マレーシア研究専攻。

■執筆者紹介:
飯塚正人(いいづか まさと)
1960年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。文学修士。イスラーム学・中東地域研究専攻。

辰巳頼子(たつみ よりこ)
1973年生まれ。清泉女子大学文学部専任講師。博士(地域研究)。地域研究・人類学専攻。

新井和広(あらい かずひろ)
1968年生まれ。ミシガン大学近東研究学科博士課程修了。慶應義塾大学商学部准教授。Ph.D.地域研究・歴史学専攻。

菅原由美(すがはら ゆみ)
1969年生まれ。東京外国語大学大学院博士後期課程単位取得退学。大阪大学世界言語研究センター講師。学術博士。インドネシア近現代史専攻。

黒木英充(くろき ひでみつ)
1961年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。学術修士。東アラブ近代史専攻。

黒田景子(くろだ けいこ)
1957年生まれ。大谷大学大学院博士課程中退。鹿児島大学法文学部教授。文学修士。東南アジア史専攻。

森正美(もり まさみ)
1966年生まれ。筑波大学大学院博士課程単位取得満期退学。京都文教大学人間学部文化人類学科教授。文学修士。文化人類学・東南アジア(フィリピン)研究専攻。

堀井聡江(ほりい さとえ)
1968年生まれ。ケルン大学大学院博士課程修了。桜美林大学リベラルアーツ学群専任講師。Ph.D.イスラーム学専攻。

鈴木伸隆(すずき のぶたか)
1965年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科修了。筑波大学大学院人文社会科学系准教授。博士(文学)。文化人類学・フィリピン地域研究専攻。

見市建(みいち けん)
1973年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了(政治学博士)。岩手県立大学総合政策学部准教授。比較政治学・地域研究専攻。

今泉慎也(いまいずみ しんや)
1967年生まれ。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所主任調査研究員。アジア法(タイ)専攻。

左右田直規(そうだ なおき)
1969年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程研究指導認定退学。東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。博士(地域研究)。東南アジア近現代史専攻。

塩谷もも(しおや もも)
1974年生まれ。東京外国語大学大学院博士課程中退。島根県立大学短期大学部講師。学術博士。人類学専攻。

小河久志(おがわ ひさし)
1975年生まれ。総合研究大学院大学博士課程単位取得退学。国立民族学博物館外来研究員/京都文教大学人間学部教務補佐。博士(文学)。人類学・タイ地域研究専攻。

富沢寿勇(とみざわ ひさお)
1954年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。静岡県立大学国際関係学部教授、副学長。博士(学術)。文化人類学専攻。

川端隆史(かわばた たかし)
1976年生まれ。東京外国語大学外国語学部マレーシア専攻卒業。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員、日本マレーシア学会運営委員。