装丁:桂川潤
東京外国語大学出版会 2011年8月10日
A5判・並製・237頁・定価:1575円(本体1500円+税)
ISBN978-4-904575-17-8 C0031
東京外国語大学出版会 2011年8月10日
A5判・並製・237頁・定価:1575円(本体1500円+税)
ISBN978-4-904575-17-8 C0031
この夏、小会から酒井啓子編『〈アラブ大変動〉を読む──民衆革命のゆくえ』が刊行されました。
本書は、酒井啓子先生[本学教授]、ダルウィッシュ・ホサムさん[本学博士課程修了/現アジア経済研究所研究員]、山本薫先生[本学非常勤講師]、松永泰行先生[本学准教授]、飯塚正人先生[本学AA研教授]、黒木英充先生[本学AA研教授]、青山弘之先生[本学准教授]、エルカウィーシュ・ハナーン先生[元本学客員准教授/現カイロ大学准教授]、錦田愛子先生[本学AA研教授助教](以上掲載順)ら、第一線の中東研究者が結集し、アラブ世界の実情と民衆革命の趨勢を詳細に分析した先端的論文集です。2011年3月3日に本学で開催された公開ワークショップの記録とともに、その後の動向を考察した論考と、一連のアラブ情勢に追ったクロニクルを収載しています。
リビアでは先日、首都トリポリが反体制派の「国民評議会」の攻勢によって陥落し、42年に及ぶカッザーフィー独裁政権は崩壊しました。一方、シリアは予断を許さない緊迫した状況にあり、依然としてアラブ情勢からは目が離せません。
そんな大変動の雪崩に襲われたアラブ世界で、実際に何が起こり、それはなぜ起こったのでしょうか? そしてそれらの意味するところとはいったい何なのでしょうか? 本書は、そうした根源的な問いに応答するとともに、マスメディアが伝えない革命の〈歓喜〉と〈苦悩〉に迫ります。
■目次より
序章「恐怖の共和国」から「アラブの春」へ(酒井啓子)
【第一部】アラブ世界で何が起きたのか
第1章 アラブ世界の新たな反体制運動の力学(ダルウィッシュ・ホサム)
第2章 社会・文化運動としてのエジプト“一月二五日革命”(山本薫)
第3章 エジプト政変をどう考えるか(松永泰行)
第4章 イスラームと民主主義を考える(飯塚正人)
第5章 アラブ革命の歴史的背景とレバノン・シリア(黒木英充)
第6章 シリアへの政変波及がこれほどまでに遅れたのはなぜか(青山弘之)
第7章 エジプトの「成功」とリビアの「ジレンマ」(酒井啓子)
【第二部】 新しい民衆運動をどう考えるか
討論 アラブ、そして世界への波及をめぐって
エッセイ エジプト革命に寄せて(エルカウィーシュ・ハナーン)
【第三部】 “革命”がもつ意味と世界への影響
第8章 ヨルダン・ハーシム王国におけるアラブ大変動の影響(錦田愛子)
第9章 「革命」をハイジャックしたのは誰か(青山弘之)
第10章 バハレーン──否応なく周辺地域大国を巻き込む民主化運動の「不幸」(酒井啓子)
第11章 イラク──「民主化」された国でのデモは、何を求めているのか(酒井啓子)
口絵 エジプトの民衆デモ──タハリール広場にて
年表 アラブの春・クロニクル
■編者紹介:
酒井啓子(さかい けいこ)
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。英ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)修士。東京外国語大学総合国際学研究院教授。専攻:イラク 政治史、現代中東政治。アジア経済研究所を経て、現職。著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、2002)、『フセイン・イラク政権の支配構造』(岩波書 店、2003)、『イラクは食べる』(岩波新書、2008)、『〈中東〉の考え方』(講談社現代新書、2010)ほか。共編著に『イスラーム地域の国家と ナショナリズム』(東京大学出版会、2005)、『中東・中央アジア諸国における権力構造』(岩波書店、2005)ほか。