2011年5月9日月曜日

イタロ・カルヴィーノ著『アメリカ講義──新たな千年紀のための六つのメモ』(米川良夫・和田忠彦訳)刊行


 このたび本学の和田忠彦先生が翻訳・解説に携わったカルヴィーノ著『アメリカ講義──新たな千年紀のための六つのメモ』(岩波文庫)が刊行されました。また、品切れになっていた和田先生訳の『むずかしい愛』(カルヴィーノ著、岩波文庫)も、このたび重版(12刷)されました。

著者:イタロ・カルヴィーノ
翻訳:米川良夫/和田忠彦
解説:和田忠彦
編集:入谷芳孝
岩波書店 2011年4月26日
本体840円 文庫判・並製・カバー・320頁
ISBN 978-4-00-327095-0

著者:イタロ・カルヴィーノ
翻訳:和田忠彦
岩波書店 1995年4月17日
本体560円 文庫判・並製・カバー・222頁
ISBN 978-4-00-327093-2


 カルヴィーノの『アメリカ講義』は、『カルヴィーノの文学講義』(米川良夫訳、朝日新聞出版、1999年)という名でこれまで読み継がれてきました。しかしここ数年間は絶版となったまま、多くの書店の棚から消えていました。その名著が「《補遺》始まりと終わり」(和田先生訳)を追加収録し、書名を『アメリカ講義』とあらため復刊されました。

 カルヴィーノは、世界各地の神話や古今の名著名作を、まるで言葉のアルチザンのような鮮やかな手さばきで引用し、関係づけ、考察します。そして新たな千年紀に必要なものは「軽さ」「速さ」「正確さ」「視覚性」「多様性」……だと論じます。

 本書は、T・S・エリオット、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、オクタビオ・パスらも過去に講義したハーヴァード大学ノートン詩学講義(1985-86)のために準備された草稿です。
 疲弊した現代の文学や日常を甦らせる処方について語られたカルヴィーノの遺著である本書を、ユーモアとエスプリに満ちた『むずかしい愛』とともにぜひ手にとってお読みください。


■『アメリカ講義』目次:
まえがき(エステル・カルヴィーノ)
1 軽さ
2 速さ
3 正確さ
4 視覚性
5 多様性
《補遺》始まりと終わり
訳者あとがき(米川良夫)
解説(和田忠彦)
索引


■訳者紹介:
和田忠彦(わだ・ただひこ)
1952年、長野県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻、イタリア近現代文学・文化芸術論。現在、東京外国語大学副学長。著書に『ヴェネツィア 水の夢』(筑摩書房、2000年)、『声、意味ではなく──わたしの翻訳論』(平凡社、2004年)、『ファシズム、そして』(水声社、2008年)、主な訳書にカルヴィーノ『パロマー』(岩波文庫、2001年)、『魔法の庭』(ちくま文庫、2007年)、『ウンベルト・エーコの文体練習』(新潮文庫、2000年)ほか多数。