現在、本学の研究講義棟1階のガレリア展示スペースで、「ジョン・ケージ展 沈黙という名の書物」(企画:小川茉侑・安土紗生・今泉瑠衣子[以上今福ゼミ]・後藤亨真[本学出版会]、協力/資料提供:今福龍太先生)を開催しています。ジョン・ケージ(1912-92)は、アメリカの前衛的な音楽家であり、ユーモラスなキノコ研究家でもあります。そのジョン・ケージ生誕100年を記念して、本学の今福先生からケージの『SILENCE』初版版と50周年記念版、そして『M』や『X』など代表的な著作を多数お借りして展示しています。また、ケージに多大な影響を与えた19世紀の哲学者、詩人、ナチュラリストでもあったヘンリー・デイヴィッド・ソローの200万語にもおよぶ長大な日記が収められた貴重な書物も展示しています(展示書物は下記のリストをご参照ください)。ショーケースの右端にはケージの音楽が聴けるヘッドフォンも設置しています。
これらの展示物のあいだを繋ぐようにバランスよく配置されているプレートには、今福先生がジョン・ケージについて書いたテキスト(雑誌「考える人」No.41所収)の引用が印字されています。展示されている書物を見ながら、プレートに書かれたテキストを読むことによって、音楽家に留まらなかったジョン・ケージの思想家としての一面が、鮮明に見えはじめてきます。
12月下旬まで開催を予定していますので、まだご覧になっていない方はぜひ一度お立ち寄りください。
〈「ジョン・ケージ展 沈黙という名の書物」展示書物リスト〉
ケージのテキスト
John Cage. SILENCE. Wesleyan University Press, 1961
John Cage. SILENCE. 50the Anniversary Edition. Wesleyan University Press, 2011
John Cage. M.
John Cage. X.
ジョン・ケージ『サイレンス』柿沼敏江訳、水声社、1996
ジョン・ケージ『小鳥たちのために』青山マミ訳、青土社、1982
ジョン・ケージ『ジョン・ケージ著作選』小沼純一編、ちくま学芸文庫、2009
ケージに決定的影響を与えたテキスト
Henry David Thoreau. Journal. Dover
James Joyce. Finnegans Wake.
Aldous Huxley. The Perennial Philosophy.
鈴木大拙『禅に生きる』守屋友江編訳、ちくま学芸文庫、2012
その他のテキスト
「ユリイカ 特集*ジョン・ケージ 鳴り続ける〈音〉」青土社、2012.10
※ なお、ジョン・ケージに関わる以下の書物や雑誌は、本学の附属図書館に所蔵されています。ぜひご覧ください。
John Cage : suivi d'entretiens avec Daniel Caux et Jean-Yves Bosseur / Jean-Yves Bosseur
白石美雪『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』武蔵野美術大学出版局、2009
ジョン・ケージ『ジョン・ケージ著作選』小沼純一編、ちくま学芸文庫、2009
ポール・グリフィス『ジョン・ケージの音楽』堀内宏公訳、青土社、2003
庄野進『聴取の詩学──J・ケージからそしてJ・ケージへ』勁草書房、2002
「ユリイカ 特集*ジョン・ケージ 鳴り続ける〈音〉」青土社、2012.10
(後藤亨真)